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Fig.15 Relationship between Torsinal Momentand Twist of Sandwich Specimen

(5tfm)の約4倍に達した。その結果、供試体の降伏ねじりモーメントの実験値(61tfm)は、綱とコンクリートの耐力を独立に計算して累加した値(49tfm)よりも約25%大きかった。鋼とコンクリートのねじり耐力を独立に計算して、単純に累加する方法は、かなり安全側の計算値を与えた。耐力をより正確に予測するためには、コンクリート負担分の適切な評価が必要である。

 

4. 結論
合成版式フーチングのせん断耐力と、合成版のねじり性状の検討から、以下のことが判明した。
(1)現行の設計式ではフーチングのせん断耐荷力にスターラップの存在を考慮していないが、載荷試験の結果から条件により考慮してよいことが判明した。
(2)従来のせん断耐衛力算定式は集中荷重を対象に誘導されているため、分布荷重の場合にはせん断耐荷力を過小に評価することが判明した。
(3)オープンサンドイッチ版のねじれに関して、初期剛性は鉄筋コンクリート版より大きいが、ひび割れ発生モーメントおよび降伏モーメントは両者でほとんど同じであった。ひび割れ幅は同一のねじりモーメントでオープンサンドイッチ部材の方がやや大きかった。
(4)サンドイッチ版のねじり耐荷力は鉄筋コンクリート版よりかなり大きかった。設計的には鋼材部分とコンクリート部分のねじり耐力を別個に計算して単純累加することにより、安全側にサンドイッチ版のねじり耐力を評価できた。
5.あとがき
種々の長所を有する合成構造を港湾構造物にさらに広く使用するためには、設計施工法の整備をさらに進めていかなければならない。今後は、経済性、施工性のみならず、地球環境との調和、景観の創成などの新しい観点から合成構造を開発していくことも重要である。その際、環境負荷の軽減を図った木質材料、新素材などを利用した合成部材を開発し、その力学特性、耐海水性などを解明することが課題となる。
参考文献
1)沿岸開発技術研究センター:合成版式ケーソン設計マニュアル、1991.3
2)田中征登ほか:ハイブリッドケーソンの設計・施工、日本銅管技報、No.122.1988
3)藤崎治男、村岡猛:合成構造を用いた新形式防波堤の開発、第3回合成構造の活用に関するシンポジウム講演論文集、pp.263−268.1995.11
4)清宮理:純引張力を受ける合成版式ケーソンの接合部の構造と耐荷力、コンクリート工学年次論文報告集、第16巻第2号、pp.1175−1180、1994.6
5)運輸省第三港湾建設局神戸調査設計事務所:合成構造沈埋函設計指針(案)、1990.9
6)小泉哲也ほか:日本初の道路・鉄道併用沈埋トンネル―臨港交通施設大阪南港トンネルの設計・施工一、コンクリート工学、Vol.31,No.6,pp.22−32,1993.6
7)小島朗史、中島由貴:サンドイッチ構造の沈埋函への適用、土木学会誌、1996.8,pp−14−17
8)横田弘、清宮理:綱コンクリートハイブリッドはりの力学特性に関する研究、土木学会論文集、No.451/V−17,pp.149−158.1992.8
9)清宮理、木村秀雄:形綱によるずれ止めの力学特性、コンクリート工学年次論文報告集、第18巻第2号、pp.1385−1390、1996.7
10)清宮理、木村秀雄、渡辺英夫:未充填部を有するサンドイッチ部材の基本的な力学性状、第3回合成構造の活用に関するシンポジウム講演論文集、pp.61−66、1995.11
11)清宮理:鋼・コンクリート合成部材の接合部の耐力特性、港湾技研資料、No.717、1991.12
12)土木学会:[平成8年制定]コンクリート標準示方書、設計編、1996,3
13)清宮理、山田昌郎:合成版式ケーソンのフーチング部の力学特性と構造設計、港湾技術研究所報告、第33巻第2号、pp.141−173、1994,6
14)山田昌郎、清宮理:綱・コンクリート合成板のねじりに関する基本的な載荷実験、第3回合成構造の活用に関するシンポジウム講演論文集、pp.83−88、1995.11
15)山田昌郎、清宮理:ねじりを受けるサンドイッチ部材の力学特性、コンクリート工学年次論文報告集、第18巻第2号、pp.1379−1384.1996,7
16)清宮理、山田昌郎:ねじりを受ける長大ケーソンの力学特性、港湾技術研究所報告、第30巻第2号、pp.445−481、1991,6
17)土木学会:コンクリートライブラリー第73号、鋼コンクリートサンドイッチ構造設計指針(案)、1992.7

 

 

 

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